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君がこの手を望むなら、











…反響する。
深いため息を何度も吐く。もやもやした気持ちを、息と一緒に吐き出してしまいたくて。何度溜息を吐こうと、停滞した気持ちはなくならない。唯、これが答えなのか?そう思う。俺が、ランボを好き?全ての行動に説明が、つくはずだ。それでも、認めたくない。
認められない。
自分が反抗する。自分自身が、頑なに否定する。好き、だと。誰かを真剣に好きだと。思ったことは一度も、ない?この気持ちが悪い、どす黒い感情が、恋だと愛だとでも言うのか?そんなもので説明がつくのか?何かの鍵を手にした気分だ。…それでも、その鍵を使う事に躊躇う。ツナは分かっていたのか?俺がランボを好きだと(ああやはり否定した、い?)。今更、今更そんな事に気付いてどうなるのか。本当に、今更だ。もっと早くに気付けば、結果は変わってたのか?否。気付こうが気付くまいが、結果は変わらない。ランボは昏々と眠り続けたまま。…恋だとか愛だとか。認めることがこれほどまでに、気持ちが悪い事なのか。
俺は、今までそういう感情を認めることを拒否してきた。そんな事を考えた事もない、唯、博愛主義(っていうのも可笑しい)で来る者拒まず去るもの追わずで生きてきた。ならば、愛人達はどうだ?俺はあいつらがこういう事になって、死にそうなくらいに衰弱するのか?…もちろん、否だ。もしも、愛人の誰かが命の危険にあったなら、あっさりと俺は切り捨てるだろう。じゃあ、ランボに対する俺の感情は愛か?


「ありえねえ」


ぼそりと呟いた言葉は、すぐに空中に四散する。リボーンはベッドに腰掛けたまま、窓の外を見ていた。開けっ放しの窓からは時折車の走行音が聞こえてくる。高い空、五階から見える景色。小さな部屋は、随分と懐かしい。一ヶ月、と一週間前。ランボが寝ていたベッドに腰掛け、リボーンは久しぶりに煙草を吸っていた。
ありえない、という言葉は。口に出せば出すほど、ありえなさを薄らげていく。自分自身がよく分からない。俺はランボが好きなのか。…案外。好きだと思う物は多かった。生きてきた中で、きっと他者が俺について思っていることよりは、ずっと。自分が好きだと思うものは多かった。それでも、
好きだと、こんな気持ちは知らない。
これが愛だというのなら、こんな気持ちを愛だとは呼べない。ツナは意地っ張りだという。それでも、認めてしまえば。自分自身にほんの一握りだけ残ったアイデンティティが、塵屑になって吹き飛んでしまう気がした。
紫煙が霧散する。
そう、たとえばこんな風に。俺という人格は、認めてしまえば紫煙のように霧散するだろう。冬の空は相変わらず、高い。ランボがずっと見ていた、窓の外。俺はあの時気付くべきだった。窓の外を見せて欲しいといったランボの気持ちに、ずっと窓を見ていたランボに。きっと、ずっと飛び降りようと思っていたのだろう。怖かったのだろう。どんな人間でも死は怖い。自分が怖いものなど何一つないと思っていた。それでも、やはり。俺でさえ、死、は怖い。ランボは怖かっただろう。
…俺は気付かなかった。自分の事だけで、自分がランボを守っているということに自己陶酔して。本当は守れてなんかなかったのに。追い詰めていただけなのに。
窓に腰掛けて、笑ったランボは、いったい何をいったのだろうか。雨の音で、聞こえなかった。きちんと聞くべきだった。…今、このもやもやとした気持ちの渦のなかで。唯一つだけ自分がわかる感情は、喜び。生きていてよかった。と。
一ヶ月と一週間、俺は逃げていたのだろう。ランボの死を知るのが怖くて。ツナが呼び出してくれてよかった。…ああ、うぜえ。こんなふうに女々しくうじうじと悩んでいる自分が。鬱陶しくて仕様が無い。



これが愛だと、恋だというのなら。
この街では、愛だとか恋だとかは恐ろしく綺麗にラッピングされショーウィンドウに並べ立てられている。そう、さも美しく綺麗なものであるように。俺でも、そう思うくらいに。ならば、この汚らしいドス黒い感情は。この汚らわしい感情は…愛か?違う。違う、
自問自答を繰り返す。気が付けば煙草は残りあと一本。…どうみても、吸いすぎだ(まあ久しぶりだしいいか)。立ち上がる、くらり、と一瞬立ちくらみがした。ああやっぱなんか食わねーとな。歩けば歩くほどに、自分という防御壁が崩れていく崩壊していく。何故認めたくないのか?そう脳髄が問いかけてくる。もちろん俺はこう答えるのだ。…自分じゃなくなるから。ならば、何故自分じゃなうなるのか?(そんなもの、答えられるわけが無い!)
ふらふらと窓辺へ歩いていく。開け放たれた窓からは、冬の突き放すような冷たすぎる空気が流れ込んでいて、息が白く凍った。あの日のランボと同じように腰掛ける。
沈黙。


















「………ああ」


自然と声がでた。何かを納得したような。
あいつは何を言おうとしたのだろう?そんなもの、分からなくていいのか。分かった方がいいのか。自分自身を苦しめる、この感情は、例えるとドブの中のどろどろした気持ち悪い色の液体のようで。でも、今。


立ち上がって、ランボが落ちた地面を覗き込む。高い、高い。薄い青が問いかける。………。


ああ、少しだけ。
少しだけ判った気がする。泥水のような感情の中の。ほんの、ほんのすみっこに。見落としてしまいそうな、それでいてわかりやすく。きらきらと何かが光る。


もういちど。あの日のランボを同じように座り、目を閉じた。


見つけてしまえば、これほど分かりやすいものは無い。この気持ちが、愛だとか恋だとかは分からない。分からなくて良いのかもしれない。ただ、泥水の中で浮かび上がる。
もし、ランボが。このきたならしく汚れた俺を
もし、ランボが。目を覚まして、もう一度俺にチャンスをくれるなら。このどうしようもない俺をに、もう一度笑ってくれるなら。守らせてくれるなら。今度こそ。
今度こそお前がこの手を望むなら、


…ランボに会いに行こう。
ツナにはああ言ったけれど。目を覚ますかは分からない。ただ、待とう。ランボに会えば、全てが分かる気がした。…そう、全ては、
立ち上がる。もう一度振り返ってあけたままの窓を見た。踵を返し、ドアを閉める。










































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