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不定期なR15バイオレンス隔離ページ。
とりあえず暴力暴力なので流血とか当たり前です。
むしろバイオレンスというより猟奇です。
短文ばっかり。
苦手な方はトップに戻って下さい。






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(new ■)


リボラン  □
ゴクツナ  □
スレツナ  □
リボーン  □
ロマディノ
骸+山本  □
山ツナ  ■







































































サディストとマゾヒストの関係





「……………」


日常、普通に過ごしていればそれが何の音かよく分からないだろう。鈍い音が一定のリズムで聞こえる。それは、ドラマで聞こえてくるような効果音より比べ物にならないくらい生々しく、時折聞こえる細いうめき声が耳に痛々しい。


「………やめ…ッ」

蚊が泣くような制止の声。ランボは床に這いつくばったまま、そこらじゅうが切れた痣だらけの腕をリボーンの片足に伸ばした。リボーンはまるで談笑でもしているような、楽しげな目でその伸ばした手の甲を踏みつける。また細いうめき声。


「何か言ったか?」
「…ッ、…もう、やめ、」


踵で踏みつけた掌に力を込める。骨が折れる寸前、限界まで。ぼろぼろ、とランボの流した涙が床に落ちた。いつもの牛ガラのシャツはナイフで引き裂かれ、遠くに捨てられるのを待っているゴミの様に部屋の隅で鎮座している。気分を害したように、リボーンが眉根を寄せ、しゃがみ込んだ。血がこびり付いたランボの髪の毛を掴み、その涙を溜めた瞳を覗き込む。白い頬はいくつもの痣で青黒くなっていた。


「なんでこんな楽しいのにやめなきゃなんねーんだ?」
「…リボーンッ」


悲鳴のような声。(実際、悲鳴)リボーンはクスクス、とわらった。頬の痣を思い切り抓る。


「なあ、お前は殴られたり蹴られたりするのが楽しいんだろ?」
「……………」
「マゾヒストじゃねーのか?」
「……ッ」
「俺に無視されるより、笑いかけられるより、蹴られる方が好きなんだろ?」


唇を強く咬む、切れた唇の亀裂が広まってまた血が流れ出した。何か喋ろうと、口を開いた後、すぐに閉ざしてぼろぼろと涙を流す。


「俺はサディスト、てめえはマゾヒスト。なんでやめさせたがる」
「……リボーンッ」
「やめてえならいいんだぜ?…じゃあこれから俺とお前は無関係、さよならバイバイアッディーオ、だ」


舞台の上の俳優のように、芝居がかった口調で言い捨てた。無駄のない動きで立ち上がり(持ち上げられていたランボの頭が床に落ちて、鈍い音)、三日月形に口を歪めたまま歩き出した。ランボが小さくうめいて、泣き声をもらす。それに一目もくれずに、薄暗い部屋をまっすぐリボーンは扉に向かって歩いた。後数歩、のところでランボがふらふらと立ち上がる。
右手で体重を支えきれず、また重力に負けて床に倒れた。血が少し落ちる。


「ま、まって…お願…いだ、から」
「…まだ何かあるのか、マゾヒストでないランボ君?」


にやり、と口の端をゆがめる。心底楽しそうな目が振り返って床から必死で立ち上がろうとするランボを捕らえた。4回、立ち上がるのに失敗した後。なんとか丸テーブルの足で体重を支えて、酔っ払いのような千鳥足でリボーンの元へ向かう。半分、倒れながらリボーンの腰の抱きついた。その血のこびりついた髪の毛をリボーンが信じられないくらい優しい手つきで撫でる。


「お、俺をひとりに、しないでッ」
「…なら、言うことがあるだろう?」


ひゅ、ひゅ、と喉が鳴る。涙がリボーンの黒いスーツを濡らした。


「…俺は、マゾヒ…スト。リボーンに、殴られるの、が…すき。俺を、殴っ…て下さい」
「好きだぜ、ランボ」


リボーンの足元にへたり込んだランボの耳元でそう囁き、ランボの激しいすすり泣きの声が聞こえた。また薄暗い部屋に湿った暴力の音とうめき声が一定のリズムで聞こえ始める。








(ランボはマゾヒストじゃなくてリボーンに見捨てられるのがこわい)


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メーデー、メーデー





風を切る音。


「……………」


また、再び風を切る音。沢田の右手には果物ナイフ。濃い隈の浮かんだ顔は、頬が少しこけ、暗く沈んだ目が前を見据えているだけ。喉の引き攣れる音。ゆっくりと瞬きを三回、隣でなんとも形容しがたい表情を浮かべた獄寺の方向へ、ゆっくりと首を回した。
にい、と哂う。顔が歪んで、泣き笑いのような表情になった。


「……君は、俺の何なの?」


答えあぐねたように獄寺が口を開閉する。沢田がそんな獄寺の様子をみて、更に果物ナイフを獄寺の白い首筋に近づけた。首を左右に振り、多い溜息を吐く。


「ねえ、聞いてるの獄寺くん。…君は、俺の部下なの、恋人なの。それとも、俺の犬なの?」
「…十代目、…俺は」
「俺は、何?」
「……あなたの、」


泣き出しそうな表情で固まる。綺麗な緑の瞳が左右に揺れた。沢田がまた重い溜息と吐いて病的ににいと哂った。


「あなたの、何」
「……あなたの部下です」


ひゅっとナイフを振り下ろす音。獄寺の大きく見開かれた右目、そのわずか一センチ先にナイフの切っ先。あはははははは、と乾いた笑い声がする。


「部下?なら、今まで君は俺に…ずっと俺の事を絶対的な主君だと思ってたの、ねえそういうことだろう?」
「………十、代目」


見開いた目から涙が一筋。沢田が眉根を寄せてナイフを下ろした。


「泣けば済むと思ってるんじゃないの。ねえ、泣けば済むと思ってるだろう」
「ち、違います、俺は」
「俺が君の泣き顔に弱いことぐらい知ってるでしょう。俺は、君が好きなんだよ。分かる?」
「……十代目、」
「止めて!」


悲鳴交じりの声。風を切る音、獄寺の白い首に赤い線が一筋走った。ハッハッと沢田の荒い息が聞こえる。


「止めて止めて止めて止めて」
「……………」


うわごとのように繰り返す。そのたびに、獄寺の身体の何処かしらに細い血の線ができた。拒絶するナイフの音と荒い呼吸音。獄寺が静かに涙を流す。


「痛い?」
「………いたく、ないです」
「何で…どうせ、俺に切られてるからとか言うんだろう?」
「……十代目」


唇に、頬に、手に、身体に、首に。細い線ができる。果物ナイフについた少量の血が少し散った。ひゅーっ、ひゅーっと荒い呼吸で喉が引き攣れる。そこらじゅうに赤い線をつけた獄寺は、まだ静かに(何かに絶望した様子で)涙を流す。沢田の、暗く沈んだ目からも涙が流れた。


「………どうしてこんなことになったの」


自らに問いかけるように、涙声で呟いた。


「なんでこんなことしてるの」
「…………分かり、ません」
「俺も分からないよ…俺は、獄寺くんのこと好きなのに。ここに居ようって、人を殺しても何しても、ずっと君の傍に居ようと思ってたのに」
「…俺もです、」
「嘘吐きだ」


静かに涙を流す獄寺を尻目に、沢田が自らの首筋にナイフを当てた。それを見た獄寺が、零れ落ちそうなくらい目を見開く。力なく壁にもたれかかっていた体を素早く動かし、沢田の手を強く掴んだ。


「お願いですから、…お願いですから、そんなことしないでください」
「…君は卑怯だ」


からん、からん、とナイフが冷たい床に落ちて間抜けな音を立てた。わああ、と声を上げて沢田が泣き崩れる。


「こんな時だけ、こんな時だけ俺を止めるんだ!」
「あなたに死んで欲しくありません」
「なんで、なんで?君は俺の恋人じゃない。俺の事好きじゃないくせに!」
「…違います、違います、」


更に声を上げて泣く。ドン、ドンと抱きとめる獄寺の胸板を強く拳で叩いた。ナイフで切れたシャツに少し血が滲む。


「…たすけて」






(ボスであることを放棄したいのに、獄寺が居るからできない)


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終わってしまった





月並みな日々に憧れていた。
実際。薄々、自分はそんな生活を送れないと感じていたし確信もしていた。それでもわずかな希望に縋ろうと、ダメなフリをしてきた。すぐに泣く、こける、勉強のできないパッとしない少年。あっという間に俺はダメツナなんてあだ名が付き、俺もそれに甘んじてきた。いや、でも俺はそのダメツナのフリをしながら他の人たちを嘲ったりもしていた。…人が人を嘲る時、それはひどく自分を棚に上げた行為に聞こえるのだけど、俺には人を嘲る事ができるほどの力量が備わっている事ももちろん知っていた。
一度、俺が小学生だったころ、自分の力量を試してみた事がある。…たまたま、(冗談半分だったみたいだけど)俺からお金を取ろうとした高校生達を、俺は気が付くと全員半殺し以上の目に合わせていて、やっぱりこの力は隠しておこうと思ったのだ。
小さいころは、無意識にダメツナを演じていた気がする。もちろん今は意識的に。俺がダメツナを演じることで、俺は人並みの(…待遇的には人並み以下の)生活をすることができた。 ……、
まさかこんなに早くその平穏が崩れ去るとは思っていなかった。俺は、自分の中に潜む衝動をひた隠しにしていたけどそれが表に出る日も近い。リボーンは、俺のもとに来た日から俺の正体に気付いてる。獄寺くんは気付いていない。ああそういえば、山本は気付いてるなあ。だから、本当は山本と友達になりたくなかったのに。俺の正体がバレるし。…でもそうしなきゃ、月並みの日々は送れないし。リボーンは一言も触れなかった。でもやっぱり気付いてるし、一度俺がその衝動に任せて見知らぬ誰かを殴っていたときに、遠くからそれを見ていた事にも気付いてる。
全てを見通す力なんて欲しくなかった。
でも、それを与えられた俺はやっぱり、定められた道を歩いていくしかない。ただ、言われたままに歩くのか、好きな風に歩くのか。その過程が違うだけ。残念ながら俺は、誰かが願っていたように平穏に定められた道を歩くのをよしとはしない。望んでいた平穏を断ち切られたんだから。
どうせなら、この権力と力量…衝動に任せて。ね、どう思うこんな俺の姿を見てさ。
自分を抑えて生きる事に終止符が打たれた。


いつものリボーンとの手合わせ。…今日は、最大限の力を出してみた。ああこんなあっさり倒せるなんて。思っても見なかった、なんて言うつもりは毛頭ないけど。だってそのつもりで俺が力を出したなら、俺が思い描いたとおりのキャスティングに仕上がる。
う、とリボーンがうめき声をもらした。最強と謳われた、まだ歳若いヒットマンは俺の足元に無様に転がっている。殺すつもりはもちろんないし、リボーンはこのことを根に持つほどバカじゃない。つまんないなあ、リボーンってこんな弱かったっけ?と聞こえよがしに呟くと悔しそうな、(それと他の感情が少し見えた)目が俺の目とかち合った。すう、と俺は裏に秘めた自分自身本当の顔でにっこりと笑い、リボーンの血がこびり付いた顔を蹴った。
リボーンは強いけど、それじゃあ面白くない。
獄寺くんはこんなことしてる俺をどう思うかな。山本、はきっと笑ってるだけだろう。ああ山本とも戦ってみたい。…どうせ勝つのは俺だけどね。リボーンから流れ出た赤い血が細い道を作って俺の靴のすぐ手前まで来た。それに、ひどく興奮する。
くすくす、とわらって相変わらず倒れたままのリボーンを無視して歩き出す。人を寄越さないと、あのままでは出血多量で死んじゃうから。


…月並みな日々に憧れていた。
でも、もうその願いは諦めた。衣服から、返り血のにおいがする。
























(ツナが本性を出す話。)


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ヒューマニスティック?





吐瀉物が床を汚す、十代目がそれを見て不快そうに顔を顰めた。
俺は十代目から一歩下がったところで、目の前で行われている、思わず目を背けてしまいそうになるような光景を、極めて冷静な表情で見ている。(…冷静な表情になってればいーんだけどな)耳を塞ぎたくなる、汚らしい暴言とうめき声、鉄の匂いに薄暗いうちっぱなしのコンクリート。
十代目はまったく表情を変えずに、いつもの表情でそれを見ている。薄い唇に笑みの形を作って、ボス用にしては少しシンプルな、それでいて座り心地の良さそうな椅子に、優雅に足を組んで座っている。細身の身体に、真っ白なスーツ。真紅のシャツが差し色としてよく効いている。
俺は相変わらず真っ黒なスーツで、斜め後ろから十代目の表情を伺い見た。
笑みを作った薄い唇や、髪が掛かった色素の薄い目からは何の表情も見られなくて、山本が前に言っていた「ツナといつもの表情で別れた後、消息不明になってもなんか納得できんなー」ってのが頭に浮かんだ。(なんて不謹慎な事を言うのだ!)
そんな事を考えている間にも、目の前の暴挙は止まない。エスカレエトしていく暴言の汚さに思わず俺も顔を顰めた。原型が分からないくらいに、顔が変形した男は、つい昨日まではよく顔を合わせた、ボンゴレの幹部だ。
吐瀉物の匂いと鉄の匂いが混じって、酷いにおいが充満する。


「臭いね」


血飛沫が目に映る。


「…獄寺くん?」
「え、…はい。何でしょう、十代目?」
「どうしたの、ぼーっとして」
「すみません、少し考え事を」


頭を下げると、十代目がふっとわらった。


「獄寺くんは、優しいんだね」
「……どうしてですか?」
「ん?なんとなくだよ」


そうしてまた目の前の暴挙へ視線を移した。十代目の色素の薄い目は何の感情も移していなかった。ボスに相応しい表情で、優雅に足を組み返る。(なんとなく、その仕草がリボーンさんと似ていると思った)
怒声、暴力の音、暴言、うめき声、
裏切り者には、死を。
その言葉に忠実に、暴挙は行われている。助けてくれ、すまなかったと今更のように喚き散らす自らの吐瀉物に塗れた男と、一瞬目が合った。ぱっと目を逸らす。…十代目がすこしわらった気がした。


「…ボス、どうします?」
「んー、もういいよ。殺して」


流暢な美しいイタリア語が響く。その後、軽すぎる銃声。ゴトッと重い音がして、男が打ちっぱなしのコンクリートに横たわった。


「それ、バラバラにして沈めておいてね。首は彼のボスに送っておいて、もう二度とこんなことしないように警告つきで。ああ、リボンも付けておいて?」
「了解しました、ボス」


満足したようにクスとわらって十代目が椅子から立ち上がる。


「獄寺くん、行こう」


その声で我に返って、十代目の白い背中に続く。この後、十代目は休憩にお気に入りのアッサムを飲み、また書類に目を通される。そういつも通りに。昔の十代目の、満面の笑顔が脳によぎった。そして、何故か胸がキリキリと締め付けられる気がして、拳を強く握る。俺は、十代目がこうなる事を望んでいた。
そうだろう?なあ、

























(スレツナ?獄綱?なんだかよく分からないけど、十代目ってこんなの)


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ノスタルジックに口付けを





始まりをよく覚えている。
腹を割いて、手を入れてみた。まだ生きているそこ、は脈動していて手が剥き出しの肉に圧迫される。生温い様で熱い温度、次々と溢れ出る鮮血が生臭い匂いで鼻腔を刺激。…何かが満たされたような気分になって、ひどく満足したのを、そして同時にひどく絶望したのを、俺は今でもハッキリと覚えている。
急に、何の兆候も無くそれは訪れた。特に何をしている時という訳ではない、淹れたてのエスプレッソを飲んでいる時、任務中、歩行しているときなど様々で、デジャビュに似た感覚が脳を掻き乱し、拳をきつく握る。感傷、


冷たい床に腰を下ろして、真横に横たわっている美しい(或いは美しかった)女の死体に視線を移した。ふう、と紫煙を吐き出す。血が尚も溢れ出ていて、人間というのはこれほど血液を持っているものなのか、と今更の様に感嘆する。普段は、鉛弾一発眉間にお見舞い、白目を向いて床にぶつかり数回痙攣、そしてさよなら!返り血が飛んで、束の間のエクスタシイ。
下腹部にぽっかりと空いた穴は、血を流す。女の着ていた白いドレスはあっという間に真紅に染まり、それはそれで美しいドレスになった。少々生臭いが。
美しかったブロンドの髪も赤に侵食されている、もったいねえとひどく人事に考えた。
気が付くと回りも血の海になっていて、俺は死体の横の血の海に腰掛けているのか、この状況は客観的に見るとどーなんだ?と、また紫煙を吐き出す。右手は血まみれで、下を見てみると、余すところなく女の血に塗れ、猟奇殺人者の様だと嘲笑。(いや、実際猟奇殺人者か?)
フィルタアぎりぎりまで燃えた煙草を持ったまま、もう一度女の腹に手を入れてみた。失われつつある体温と脈動しないそこに急速に興味を失って、立ち上がった。女の腹の中に、手向けるように燃え尽きた煙草を残して。


立ち上がった瞬間、ぽちゃりとまぬけな水音。血溜りを歩くたびにぱしゃぱしゃと黒い革靴が音を立てる。クリイム色をしていた筈の壁は、血が飛び散っている、床はほぼ血溜りと化していた。度を越えた生臭さに思わず顔を顰める。
部屋の真ん中には、自らの血の池に沈むように美女の死体が佇んでいた。それに一瞥をくれると、対して感傷に浸るでもなく、部屋を後にする。
歩く度に、血の足跡が付き、これはやべえかもな。などと考えるが、結局それすらボンゴレの偉大な力によって覆い隠されるのだから、お手軽なもんだ。と鼻で哂い、見慣れたアパルトメントの一室を闊歩する。


玄関の扉を開けると、人の気配を感じ反射的にピストルを向けた。その直後、軽く溜息を吐いてピストルを下ろす。


「紛らわしーぞ」
「生臭い」
「うるせーな」


カツ、と小さな足音をさせて、壁にもたれかかっていたツナが俺の方を向いた。少し俺よりも身長が低い(いつ追い越したんだ?)。


「そういう事は、あんまり大っぴらにやらないで欲しいんだけど?」
「大っぴらじゃねーぞ」
「充分大っぴらだよ。イタリア屈指のディーバが自宅で猟奇殺人。しかも調べてみれば、マフィアの愛人だった!なんて」
「猟奇殺人?」
「…猟奇殺人だよ。腹に穴が開いてる。どれだけ猟奇的だと思ってるの」
「見てたのか」


はあ、とツナが溜息を吐いた(溜息吐きてーのはこっちだ)。


「見なくても分かるよ、リボーンのやってる事ぐらい」
「そりゃすげーな」
「今回は見逃すけど、次ここまで目立つ事やったら俺もリボーンを処罰せざるを得ないからね。分かった?」
「お前に俺が処罰出来んのか?」
「…あのねえリボーン。俺はお前のボスだよ」


興醒めだ!元教え子の顔を睨む。意志の強い眼差しに、溜息を吐いた。


「…次からは目立たねえようにやれ、か?」
「そういう事じゃないけど」


呆れたように白いスーツを着たツナは、肩を竦める。口の中で何かを呟いた。


「下に部下が居るから、彼の車に乗って帰ってね」
「…了解、ボス」


俺も肩を竦めて、歩き出した。背中に、ツナの溜息がぶつかる。


「リボーン」
「何だ?」
「誰にだって、多少後ろ暗い所はあるけどね。……リボーンは、クレイジーだ」


投げやりに、ツナが言った言葉がやけに的を得ている気がして、ふっと嘲笑した。


「お前の腹も割いてやろうか、ツナ」



























(胎内回帰願望を持ってて快楽殺人者のリボのはなし)


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粉雪





制止する声と、腕を強い力で掴まれる感触で我に返った。気が付くと辺りは、人間たったひとりの体の何処に、こんな量の血が入ってるんだ?と思わず首を傾げてしまいそうな量の、血が、海を作り、湖を作り、池を作り、そして川のように何本にも枝分かれして、寒いコンクリートの上に、鮮やかに広がっていた。思わず、くらりと眩暈がしてよろめくと、倒れる体制に入るまえに肩を掴まれ、この現実から逃避する唯一の道を絶たれた。
後ろを振り返ると、不自然なくらい無表情の(まあ、こいつはこういう光景に慣れてるんだろうけどな)ロマーリオが、俺の目を覗き込んだ。真黒の瞳に、そのまま吸い込まれて、もう二度と、戻ってきたく、ない。
ヘヘッと笑うと、俺の少ないボキャブラリイでは到底言い表せないくらいの、複雑すぎる表情を作って、ロマーリオらしく不器用に笑って見せた。


「ちょっとやりすぎちまった」


控えめに、肩を支える力に、後押しされて、何か喋らなくてはという強迫観念が渦巻く。足元には、本来の顔が分からないくらいぐちゃぐちゃに叩きのめされた顔と、床に落ちた機関銃と、俺の手にはピストル。
今すぐにでも、逃げたい。逃げたい、逃げたい、逃げたい、逃げたい、と悲鳴を上げる足を叱咤して、笑って見せた。部下の前で、情けねえ姿は、もう見せねえって、俺は決めたんだ。もう、二度と逃げださねえし、もう二度と弱音は吐かねえ。心臓が、皮膚を破ってそのまま飛び出してしまいそうなくらいに、激しく打っている。
ひどい疲労感を感じ、こっそりと目を閉じた。ロマーリオは喋らず、俺はメランコリックな溜息を吐く。
重い瞼の奥にある宇宙で、俺はなんとなく、昔に読んだミステリイ小説で、犯人が、自分が殺した奴の身元が分かんねえように、顔を潰して指紋を焼くシーンを思い出した。


「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと眩暈がしただけだぜ」


即答し、軽く支えてもらっていた体を離した。手持ち無沙汰に、ロマーリオが腕を下ろす。しいんとした空間が、寒々しいコンクリートの間を這いずり回って、一刻も早くこの部屋を出たい、と思った。
死体に目をやると、蜂の巣状態で、そこいら中に穴が空いていた。潰れた目から、黒い穴が少し見えて、その空間は恐らく宇宙へ繋がっているのだろうと、目を伏せる。視線を感じて振り返ると、ロマーリオが暗く沈んだ目で、こっちを見ていた。
その視線に、体を破りそうなくらい跳ね回っていた心臓が、急に3メートルほと下に落ち込んで、その感覚にまた眩暈がする。(やめてくれ!)どこかで、悲鳴が上がった。もしかしたら、これは、必死で押し込めて、脳みその中の小さな部屋に監禁されている、弱い自分が発している、金切り声なのかもしれない。
振り切るように、視線の黒い穴から目を逸らし、ロマーリオに近づいた。ボス、と小さな声でロマーリオが言い、握ったままのピストルを、間違って発砲しないように気をつけながら、自分の内ポケットに仕舞った。
その視線の、あまりの深さに、どきりとする。悟られないように、ふっと微笑し、口を開いた。さりげなく、死体から遠ざかるように歩く。


「どうした?」
「…いや、…なんでもねえよ」
「気になるじゃねえか」


……微笑った。
大人特有の、全てを煙に撒いてしまえる、笑い方で。縁無しメガネをいつもの動作で押し上げ、いつもの視線にさっと切り替えるのが分かった。


「そろそろ行くか。こんなトコに居たら腐っちまうぜ、ボス」
「だな。今日はもう、なんも仕事ねえよな」
「ああ。事後処理は任せとけ」
「…頼もしいな」


ぽん、と俺の肩を気軽に叩き、子供の頃、いつもそうしてくれたように、渋い顔をくしゃりと歪めてわらった。そういう風に笑うと、いつもの少し強面の顔が、やけに子供っぽく見えて、俺はその顔が昔から大好きだった。この表情に、何度支えられて来ただろうか?
ロマーリオが動くと、ぱしゃりと、血の池が跳ねた。センスの良い、黒い革靴が血で汚れて、もったいねえなと顔を顰める。
大丈夫だ、俺は、大丈夫だ。大丈夫だ。
本当は口に出して、何度もそう確認したいが、部下が、ロマーリオが居る手前そんな事をしてしまうと、一層情けない気がして、溜息をひとつ吐くだけに押し留める。…この間は、部屋に戻って、ひとりになると、途端に体の力が抜けて、倒れてしまった。そのことについて、ひどく心配をかけてしまったので、今度はんなことがねえように、気をつけなければ。 しゃん、と背筋を伸ばす。
……大丈夫だ!
ロマーリオが、俺の後に居てくれる。それだけが、今俺を前に歩かせている。
再び、弱い俺が、黒板を爪で引っかくような騒音で悲鳴を、あげた。ロマーリオと目が合い、また何かを奥に隠し持っている様な目つきで、俺を見ている。俺はわらって、やり過ごす。

























(すれ違うふたりのはなし。アジカンの「粉雪」から)



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特に意味を成さない、





「あなたは愛し方をご存知ですか?」
「…それって今言う事か?」
「なんとなくです」


少し前で、こちらの顔を見ずに(見れるわけねえな)そう優雅な声で口を開いた。少し青みがかった、昔よりも少しだけ伸びた髪が風で揺れる。銃声。目の前に躍り出た、男の突き出た喉を手に持った刀で掻き切って、俺も口を開く。
そういいつつも、銃声と絶叫が響いた。それに身震いをする。断末魔の悲鳴のこの素晴らしさを、どうして俺は今まで知らずに生きてこれたんだろう?なるべく即死はさせずに、口汚く罵り言葉を吐きながら次々に目の前に踊りこんでくる男達を、手に持った刀で切り裂いていく。ナイフを持ち上げるたびに、人一人の生の感触が消え去っていく。何て素晴らしいんだ!


「お前はどーなんだ?」
「知るわけ無いでしょう」
「だろうな」


ははっと笑って、思わずなんて下品なんだと顔を顰めたくなるくれえ、ひどい罵り言葉を吐いた男の首に刀を滑らせた。切れ味の良すぎるそれは、恐ろしく鮮やかな切り口で、首を撥ねた。大胆にも後ろから襲い掛かってきた男の腹を、横一筋に切ると、内臓がぐちゃりと飛び出してきて、べっとりと卸したばかりの黒いスーツに付いた。舌打ちをして、刀をもう一度構えなおす。


「あれ、もう終わりですか」
「だな」
「つまらないですねえ」


くふふ、と怪しげに笑う骸を尻目に、ごろりと足もとに転がってきた誰かさんの生首を蹴り上げた。予想外に、遠くまで飛んで、転がったままの(こちらも誰かさんの)死体の上に落ちて跳ね返った。


「死者に対する冒涜ですよ。死体は、美しくあるものです」


もう一度上機嫌にははっと笑う。あっと言う間だったけど、これほど殺せたのは久しぶりだ。耳の裏にこびり付いたままの、断末魔がまだ新しい。


「んで、骸。さっきの質問は?」
「ああ、そういえば…あなたは愛し方をご存知ですか、山本さん」
「知ってるぜ?」
「是非とも教えていただきたいものです」


少し話し込むつもりなのか、骸が傍に積み重なった死体の上に座った。べしゃりと血が撥ねる音がする。人間にはけして見せない表情で、骸が薄く微笑んで首がない死体の断面を、吐き気がするほど優しい手つきで撫でた。
俺たちを似たもの同士だと、この間小僧が言っていたが、それは確実に違う。断末魔が好きな人間と、死体が好きな人間はまったくもって、違う。


「知ってるけど、教えられるくらい知ってるって訳じゃねーな」
「なんだ、そうですか。残念です」
「何でんな事急に言い出したんだ?」


胸ポケットから煙草を取り出して銜える。先日、(今現在の)女から貰った、多少上等そうなセンスのいいジッポを取り出して、火をつけた。そのまま、ジッポを近くの血だまりに放る。くふふふ、とまた含み笑いが聞こえた。


「もったいないですね」
「んなもん、別に惜しむもんじゃねえしなあ」
「人から頂いたものでしょう?」
「骸って案外律儀な奴なのな」
「そうですか?あなたがモノに執着がないだけでしょう」


こんな風に、俺たちの会話はかみ合わない。まったく違う価値観で生きているからであって、それでも似たもの同士だというものだから、よくわかんねえな。まあ、したいようにやってるところは、にてんのかもしんねえけど。


「ここまで散らかしてしまっては、また綱吉くんに怒られますね」
「そっか?ツナも諦めてんじゃねえの」
「ならいいんですけど。僕はあの人に怒られたくないんですよね」
「何で?まあ、ツナ怒ったら怖えーけどな」
「愛しているからですよ」


思わず、煙草をふかしていた手を止める。独特な長い髪を揺らしながら、独特な笑い声をだした。


「驚きましたか?」
「いや、驚いたっつーか。マジで?」
「ええ。だからあなたに愛を教えていただこうとしたんですけど、あなたに聞いたのが間違いでしたね」
「なんでツナなんだ?」
「さてどうしてでしょうか」


骸がまた愛しげに、何処の誰かもわからない男の未だ血を垂れ流す断面を撫でた。俺は、もう息をしていない人間の死体には、興味がない。まったくもって、ない。あの苦しげにゆがんだ、みっともない生への執着を垂れ流す顔と、ひび割れた声にしか興味がない。


「だから、せっかくなので生きた人への愛の向け方を教わりたいんですよね」
「生きた人、ねえ」
「僕の愛は、例外なく死者へ向けられていましたから。だから綱吉くんにも死体になっていただきたいんですよね。物言わぬ白い肌に、欠けた部位を縫合して、こびり付いた血液をふき取って、一生僕のベッドで横たわっていただきたいんです」


くふふふとまたわらう。ああ、そういえばこいつは、バラバラにした死体をもう一度縫合してくっつける、ひどい悪趣味があった。話を聞きながら、まわりの無数に散らばった死体を見回してみても、なんの興奮も訪れない。


「しかし、残念ながら僕は彼を殺すことができないんです」
「何で?」
「そりゃあボスですし。それに、もうすこし生きた彼と話をしたいですから」
「ふうん、骸もんな事言うんだな」
「ええ、そりゃあ僕も一応人間のひとくくりに入ってますから」


ぷかり、と煙を吐き出した。真夜中のひんやりした、突き放すような空気が死体の群れを撫でる。血を孕んだ風が、通り抜けていった。


「俺にゃよくわかんねえや」
「では、あなたにとってあの人は?」
「あの人?」
「雲雀恭弥の事です」
「ああ、ヒバリか。見かけによらず鋭でえのな」


見かけによらずって何ですか、と可笑しげに呟く声がする。俺にとっての、ヒバリ。愛だと言えるのだろうか。ああ、でも俺はヒバリを愛しているのか。そうか。…愛か。考えた事もなかったな。


「あなたはあの人がひどく苦しんでいるところを見たいでしょう?」
「まあ、そりゃあそれが一番だな」
「でも、それができない。僕も同じですよ。綱吉くんの死体を見てみたい。でも見れない」
「言ってみりゃそうだな」
「やはり僕たちは、同じ基本パーツを持っているようですね」


怪しげに笑う。死体に腰掛けたまま、骸が足を延ばした。その先にある血だまりを爪先で撥ねて、リズミカルにぱしゃぱしゃと音を立てた。


「ま、そーいう事でいーんじゃねえの」
「投げやりですねえ」
「てか、まじでツナんこと好きなの」
「…好きという表現はいささかおかしいですね。好き、ではありません。愛しているんです」
「そういうモン?」
「ええ」


沈黙。こんな風にして俺たちの会話は、特に意味も成さず毎回終わる。吸殻を、先刻ジッポを投げた血だまりにまた放った。


「…やっぱり、死体にしましょうかね。止めますか?」
「まあな。そりゃあ止めるだろう」
「あなたに邪魔されるとあっては面倒なので、またの機会にしましょう」
「何だ、つまんねえの」


血だまりをかき回す足を止めて、不思議そうに俺を見上げた。端整に整いすぎて、生気が感じられない人形のような顔が、暗闇に浮かび上がる。


「どうしてですか?」
「お前の絶叫って聞いてみたかったんだよな」
「ならリクエストにお答えして、今此処で叫んでみましょうか」
「ん?遠慮しとく。んなことされても、つまんねえし」
「我侭な人ですねえ」


反動をつけて立ち上がった。俺と、同じくらいの身長。オッドアイが探るような視線で俺の眼を覗き込んだ。


「そろそろ、連絡をつけて片してもらわないとですね」
「だな。あー、めんどくせえ。骸やっといてくんねえ?」
「綱吉くんを死体にしてもいいですか?」
「それはダメ」
「じゃああなたも一緒に怒られてくださいね」


そういって、歩き出した。断末魔は、相変わらず耳の奥で木霊している。
先刻、骸の言ったヒバリについてというのが、こびり付いている。こいつが、もしツナを死体にしたら、俺もヒバリを殺してみようか。まあ、まだわかんねえけど。とりあえず、明日ヒバリに会いに行こう。(殴られるだけだろうけどな)


「死体、もってかえんねえの?」
「僕はごつごつした男の死体は嫌いなんですよ。柔らかい女性か、線の細い男性がいいです」
「変態くせえ」
「あなたが言えた義理ではありませんよ。あなただって女性の悲鳴のほうがいいでしょう」
「まーな」


俺の笑い声と、骸の笑い声が、静まり返った倉庫街に響き、やっぱり絶叫の方がいーなあなんてそう、思った。
死体の山から突き出た誰かの手が、こちらを責め立てる様に指差していて、それが、何故かひどく可笑しかった。くすくすと笑う俺を、骸が振り返って、その誰かの手に気が付き、くすりと笑う。

























(ネクロマニアな骸とサディストな山本。よく考えてみると骸と山本が一番最強コンビかもしれない)



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しんでください、あいしてました





「あなたを殺して犯してもいいですか」


思いつき程度にそう言ってみると、俺が腰掛けた馬鹿でかい机の窓際、これまた馬鹿でかい椅子に座っているボス、が顔を上げた。昔より色素が薄くなり、金髪にちかい鳶色が揺れる。


「殺してから犯すの?それとも犯してから殺すの?」
「殺してから犯すの」
「ふうん、悪趣味」


我らがボス、というかツナは多少の事ではもう何にも動じなくなった。…でも、多分昔は動じてた"フリ"をしてただけで、実は案外もともとこういう気質だったのかも、しんねえな。俺みたいに。つまんねえの、なんて呟くとまだ舌に違和感が残っている事に気が付く。


「何がつまらないんだよ、山本」
「聞こえてんのな」
「地獄耳だからね。くだらないこと言ってないで、さっさと仕事してよ」
「あ、まだ舌いてえから」
「そんな言い訳通用すると思ってるの。大体痛いならピアスなんて空けなきゃいいだろ」
「でもかっこいいしな」
「全然」


きっぱりとそう言い切り、お気に入りらしい紅茶をすすった。何時もはツナと始終一緒に居る彼の犬(俺はこう呼んでいる、ひそかに)は、今日は任務に出ていて傍には居ない。紅茶の味がお気に召さなかったらしい、ツナは少し唇の端を歪めて、角砂糖を積んである小皿を長い指で摘んだ。


「そんなに身体中に穴を開けて何が楽しいのかさっぱりわかんないね」
「男のロマン?」
「どうせすぐに飽きるくせに。この間の刺青ブームだって、あっと言う間だったじゃん」
「えー、だって飽きんだもん。柄がさ」
「あっそ」


ツナの表情は変わらない。冷たい声で、気がない返事をして、また手に持った万年筆をかりかりと紙に滑らせた。テーブルに軽く腰掛けたまま、胸ポケットから煙草を取り出す。 ふう、と最初の一服を吐き出し、ツナの横顔をみる。煙草の匂いに気が付いたのか、嫌そうな顔をした。…こんな風なやり取りしか出来なくなったのは、いつからだろうか。いつごろからだっただろうか。お互い、素を出し合って話すのは、二人きりの時のみだ。
大体、ツナにはいつも犬がついているから、こんな風に話すこともあまり、ない。


「山本に死姦趣味があったなんて知らなかったよ。今度骸に言ってみれば。死体のひとつでも貸してくれるんじゃない」
「あー、なんかテンション下がんなーそれ。死姦趣味って、俺生きたままのほうが好きだぜ、単なる思い付き」
「じゃあ何がしたいんだよ」
「ボスを殺してえの」
「お前に俺が殺せるの?へえすごいね、そんなに強かったっけ山本」


感情を乗せずに、棒読みの言葉が返ってくる。…確実に、性格が悪くなった。いや、だから多分もともとだったんだろうけど。他の奴らは、ボスになってから性格が変わった、なんていうけど。恐らく、本性を隠していただけで、俺みたいに、こんな風に表に出てきただけなんだろう。


「なあ、なんでそんな怒ってんの?」
「そりゃあ怒るだろうね」
「何で?」
「そんなに堂々と仕事をさぼられちゃ、怒るだろ」
「じゃあ、仕事でもしてくっか?」
「是非とも」
「舌いてえ」
「はいこれ」


俺の言葉を無視して、大量の書類が手渡される。写真付きのそれ、はどう少なく見ても10人以上のデータがあるように見えた。


「それ全部始末してきて。ボンゴレがやったって絶対に悟らせないように」
「どんな方法でもいいのか?」
「ボンゴレだって分からなければ」
「つまんねえの」
「じゃあ標的全部を誘い出して、爆殺でもすればいい」
「あ、それいい考え」
「出来る限り早くね」


冷たい声でそう言い、また他の報告書のチェックに当たる。
ツナは、こういう風に、小僧にもゴクデラにも秘密裏で俺に人物の始末に当たらせる。(小僧は多分気付いてっけど)普通にボスをやって、ボンゴレとして殺す人間は、ボンゴレの誇りを踏みにじったりしたものだけで、他の邪魔な奴、は全て俺に殺させる。その分、俺は組織の情報を、大量に握っている。
ツナは、気付いているんだろうか?


「了解、ボス」
「…お前に殺される気はないよ」
「じゃあ犯される気は?」
「もちろんないね」
「ふうん、つまんねえの」
「そんなにつまんないんだったら、一回死ねば」
「もっとつまんねえよ」


くすり、とツナが笑った。 口の端を歪めて、その顔は、以前に小僧と仕事をしたときに見た、小僧が人殺しの時によく浮かべているあのひどく嬉しそうな顔と余りに似ていて、少し目をぱちりとさせる。


「どうしたの、早く行けば?」
「おー、そうだな。じゃあ、グッバイボス」
「バイバイ山本、期待してるよ」


ひらりと手を振り、馬鹿でかい机から腰を下ろした。かつ、と革靴が音を立てる。
次、の瞬間。
すぐ、近くで銃声。二発。


「……あれ?」


空けたばかりの舌ピ、から血の味がする。くすくす、とツナが笑う声が聞こえた。腹が、熱い。燃えてんのか?それとも、太陽でもぶちこまれたのか?あけようとしていたドアが、ずるずると下に下がって行く。ずるり、と倒れたのは、俺だった。
目の前の扉が開いて、見覚えがあるボスの犬の靴が見えた。"ああ、そういうことか"


「俺が気付かないとでも思ったの、山本。裏切りものが俺の友達なんて、悲しいよ」


言葉とは裏腹に、楽しげな口調でツナが言う。
倒れた俺の横っ面を、衝撃が走る。ゴクデラの革靴が、目の前にあった、どうやら俺は犬に足蹴にされたらしい。ああ、最高のエンディングだ。血が流れて行くのが分かる。


「終わりはあっけないものだね。バイバイ山本、二度と会わないだろうね」
「どうだろうなー?夢枕に立つかもしんないぜ?」
「あっそう。勝手にすればいいさ、裏切りものは死ねばいい」
「なあ、ツナは俺の事好きだった?」


ごほ、と血が口の中に溜まる、せっかく舌にピアス空けたのに、無駄骨だったなあ。遠くで考える。どうやらやっと死ねるらしい。いや、もう少し長い時間は、ここに居なきゃなんねえだろうけど。何せ、俺が今まで裁いて来たとおりに、裏切りものにはひどい仕打ちが待っている。贖罪だ!


「愛してたよ。…嘘だけど」


くすりとツナが笑う声がした。ゴクデラの足は視界から消える。どんな顔をしてるんだろうか。ツナの顔は、何故か容易に想像できるけど、ゴクデラの顔は出来ない。


「バイバイ俺のヒーロー。最期に一回だけヤらせてあげてもよかったかもね」


頭を、誰かに踏みつけられる(多分、ツナだろうけど)。意識が途切れる。その前に、横っ腹に思わず吐いてしまうほどの、強烈な蹴り。ああ、死ぬんだな。刺青を入れてみたり、ピアスを無数に空けてみたりしたけど。これほどの快感はないだろう。生の実感が薄れてくる。
最後の思い残しは、ツナを殺せなかったことだけかなあ。
何で、俺がツナを殺したかったんか、全然わかんねえけど。ゴクデラでもよかったかもしんねえし。もしかしたら、同属嫌悪だったんかも。それか、俺はツナが好きだったか。ああ、そっか、好きだったのか。俺の童貞は、ツナが奪っていったわけだし?ああ、ふざけてんなあ。すきだったのか。最期に気付くのかよ。ばっかみてえだ。
ツナの顔はハッキリ思い浮かべられる。
きっとにっこり笑ってるんだろう。色素の薄い、茶色の眼を細めて。

























(なにがしたいのか分からなくなってきた。山本はツナが好きで、裏切って殺されちゃえばいいんだ。ツナは山本を物凄く愛してたから、殺すんだ)



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